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会計・法務

証券法・M&A法務・高度会計・企業再生

インサイダー規制・企業結合・高度会計基準・倒産・企業再生制度

上場企業は金融商品取引法による厳格な規制を受けます。インサイダー取引規制・企業結合会計・デューデリジェンス・IFRS基準・企業再生制度(会社更生法・民事再生法)は、M&Aや高度な会計・法務の場面で頻出の概念です。試験では各制度の目的と要件の正確な理解が問われます。

目次

① 証券規制・インサイダー取引禁止

インサイダー取引を禁止する法律

インサイダー取引(内部者取引)を禁止しているのは金融商品取引法です。上場会社の役員・従業員・主要株主等が、一般に公開される前の重要事実を知りながら株式等を売買することを禁止します。

内部者取引規制の目的

内部者取引規制の目的は証券市場の公正性・透明性の確保と一般投資家の保護です。内部情報を持つ者が不当な利益を得ることを防ぎます。

② M&A法務(企業結合・SPC・デューデリジェンス・連結)

特別目的会社(SPC)

SPC(Special Purpose Company)は、特定の資産の保有・証券化・プロジェクトファイナンスなど特定の目的のためだけに設立される会社です。 親会社との連結対象から切り離す(オフバランス化)ため、または資産の流動化(証券化)のために多く利用されます。

連結財務諸表の支配基準

連結財務諸表を作成する際、親会社が子会社を支配していると判断される主な要件は議決権の過半数(50%超)の保有です。議決権が過半数に満たない場合でも、取締役会の過半数を占める等の実質支配がある場合は連結対象となります。

企業結合会計(パーチェス法)

支配を得た企業(取得企業)が被取得企業の資産・負債を取得日の公正価値で計上する方法がパーチェス法(取得法)です。IFRSおよび日本基準ともに、企業結合の会計処理として原則採用されています。

事業譲渡vs会社分割

手法特徴
事業譲渡特定の事業だけを売買。債務の承継には個別同意が必要。株主総会の決議不要な場合も
会社分割包括承継。債務も自動的に移転。株主総会の決議が必要

デューデリジェンス(DD)

M&Aにおけるデューデリジェンスの主な目的は、対象会社のリスク・価値・問題点を事前に調査・評価することです。財務DD・法務DD・税務DD・ビジネスDDなどが実施されます。

連結納税制度

親子会社グループを1つの課税単位として法人税を計算する制度です。主な効果は、グループ内の黒字会社と赤字会社の損益を通算することで税負担を軽減できることです。

③ 高度会計(発生主義・粉飾決算・IFRS・減損・のれん)

発生主義会計

発生主義とは、現金の収支に関わらず、経済的事実(取引・事象)が発生した時点で収益・費用を認識する会計原則です。(← 現金主義の対概念)

粉飾決算

粉飾決算とは、実際の業績より良く見せるために財務諸表を意図的に偽造・改ざんする行為です。売上の水増し計上・費用の先送り・架空資産の計上などが典型例です。金融商品取引法違反・会社法違反として刑事罰の対象となります。

財務諸表の目的

決算後に作成する財務諸表の目的は、経営成績・財政状態・キャッシュフローを利害関係者(株主・債権者・投資家等)に報告することです。

会計における重要性の原則

重要性の原則とは、金額的・質的に重要性が乏しい項目については、会計基準を厳密に適用せず、簡便な処理を認める原則です。例:少額の消耗品を費用処理するなど。

減損会計の適用状況

減損会計が適用される主な状況は、固定資産(有形・無形・のれん等)の帳簿価額がその回収可能額(使用価値または正味売却価額の高い方)を上回った場合です。事業環境の悪化・収益性の低下などがトリガーとなります。

公正価値(IFRS)の定義

IFRSにおける公正価値とは、測定日現在において、市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売却または負債を移転する際に受け取るまたは支払うであろう価格(出口価格)です。

のれんの償却:日本基準とIFRS

基準のれんの会計処理
日本基準20年以内の期間で規則的に償却
IFRS償却しない(非償却)。毎年CGU単位で減損テストを実施

④ 企業再生・倒産法制

倒産時の債権者平等原則

会社が倒産した際に、同順位の債権者が保有資産から平等に弁済を受ける原則債権者平等の原則と呼びます。特定の債権者のみが優先弁済を受けることは禁止されます(ただし、担保権者・優先債権者は別扱い)。

会社更生法

会社更生法の適用を受ける主な目的は、経営難に陥った株式会社を倒産させずに再建させることです。経営権は裁判所が選任した更生管財人に移り、現経営陣は退陣します(民事再生法とは異なる点)。大企業に多く使われます。

特別清算

特別清算は、解散した株式会社が清算を進める上で問題が生じた場合に、裁判所の監督のもとで行う清算手続きです。通常清算の特殊な形態で、法人の存在を消滅させることを目的とします(民事再生・会社更生とは異なり再生を目的としない)。

企業再生ADR(裁判外紛争解決)

企業再生ADR制度の特徴は、裁判所を使わずに金融機関との間で事業再生計画を合意・実行できることです。公表リスクが低く、事業継続しながら再生できるため、風評リスクを抑えながら再建が可能です。

経営者保証ガイドライン

経営者保証に関するガイドラインは、中小企業の経営者が個人保証なしに借入できる環境整備を目的として導入されました。主な目的は経営者の個人保証依存を減らし、果敢な事業挑戦と円滑な事業承継を促進することです。

ガイドラインで求められる自己資本管理の原則:法人と経営者の財務の分離(法人の資産・収益が経営者個人のものと混同されない状態の維持)。

⑤ 試験頻出ポイント

🎯 よく出る問題パターン

  • 「インサイダー取引を禁止する法律」→ 金融商品取引法
  • 「内部者取引規制の目的」→ 市場の公正性確保・一般投資家の保護
  • 「連結財務諸表の支配判断要件」→ 議決権の過半数保有(または実質支配)
  • 「企業結合の会計処理」→ パーチェス法(取得法):公正価値で資産・負債を計上
  • 「事業譲渡の特徴」→ 個別承継(債務移転には個別同意が必要)
  • 「DDの目的」→ 対象会社のリスク・価値・問題点の事前調査
  • 「粉飾決算」→ 実際の業績より良く見せる意図的な財務諸表の改ざん
  • 「のれんの会計処理の違い」→ 日本基準:20年以内償却 / IFRS:非償却+減損テスト
  • 「会社更生法の目的」→ 株式会社の再建(管財人による経営権掌握)
  • 「特別清算の特徴」→ 解散会社の法的清算手続き(再建ではなく消滅が目的)
  • 「経営者保証ガイドラインの目的」→ 個人保証なしの事業挑戦・事業承継促進
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