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会計・法務

知的財産権(特許・商標・著作権・意匠・営業秘密)

知的財産権の種類・保護期間・国際条約・ライセンス契約

知的財産権は企業の無形資産を法的に保護する権利です。特許・商標・著作権・意匠・営業秘密はそれぞれ対象・保護期間・要件が異なります。グローバル事業展開では国際条約(パリ条約・PCT・マドリッド協定等)の知識も不可欠です。

目次

① 特許権(発明の保護)

特許権は、技術的な発明(自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの)を保護する知的財産権です。特許庁への出願・審査・登録によって権利が発生します。

特許権の保護期間:出願日から20年(医薬品・農薬等は最大5年延長可能)

特許権者は第三者が無断で発明を実施することを排除できます(独占的実施権)。

② 商標権・意匠権

商標権

商品・サービスを識別するための「マーク(文字・図形・記号・色彩等)」を保護します。企業が他社の商標を無断で使用した場合は商標法違反として損害賠償・差止め請求の対象となります。

商標登録の有効期間:登録から10年(更新手続きにより何度でも更新可能)

商標権の消滅要因

意匠権

製品の形状・模様・色彩などの外観デザイン(美感を生じさせるもの)を保護する権利です。特許権が技術内容を保護するのに対し、意匠権はデザインを保護します。

意匠権の保護期間:出願日から25年(2020年改正後)。改正前は登録から20年でした。

④ 営業秘密(不正競争防止法)

不正競争防止法により保護される営業秘密の要件は3つすべてを満たすことです:

  1. 秘密管理性:秘密として管理されていること(アクセス制限・秘密指定等)
  2. 有用性:事業活動に有用な情報であること
  3. 非公知性:公然と知られていないこと
「非公知性」の条件は必須です。公知となった情報は営業秘密として保護されません。試験では「保護要件として誤っているもの」を聞く問題がよく出ます。

⑤ 知的財産の国際保護

知的財産権の国際的保護を目的とした主な条約:

条約・制度対象概要
パリ条約工業所有権全般(特許・商標・意匠)内国民待遇・優先権制度の基礎
PCT(特許協力条約)特許1つの出願で複数国に同時出願可能
マドリッド協定議定書商標1出願で複数国に商標登録出願可能
ベルヌ条約著作権登録不要・内国民待遇で自動保護
TRIPS協定知的財産全般WTO枠組みでのIP保護基準統一
「知的財産の国際保護を目的とした条約」を聞く問題では、パリ条約・PCT・TRIPS協定のいずれかが正解となるケースが多い。「WIPO」(世界知的所有権機関)も重要な国際機関です。

⑥ ライセンス契約・クロスライセンス

ライセンス契約における実施権の種類

種類内容
専用実施権特定の範囲で独占的に実施できる(他者への許諾不可)
通常実施権特許権者も他者にも許諾可能な非独占的実施権

試験では「実施権の種類として誤っているもの」が問われます。「排他的実施権」という名称は一般的に使われないことがポイントです。

クロスライセンス(Cross-License)

クロスライセンスとは、2社以上が互いの特許権等を相互にライセンス(実施許諾)し合う契約です。 例:企業AがBの特許を使う代わりに、BがAの特許を使う権利を与える。 相互の技術活用・特許紛争の回避・業界標準化の促進に使われます。

⑦ 試験頻出ポイント

🎯 よく出る問題パターン

  • 「技術的な発明を保護する権利」→ 特許権(意匠・商標・著作権ではない)
  • 「特許権の保護期間」→ 出願日から20年
  • 「商標登録の有効期間」→ 登録から10年(更新で継続可能)
  • 「商標権消滅の要因」→ 更新不備・登録料未納・3年以上の不使用(取消審判)
  • 「デザイン・外観を保護」→ 意匠権
  • 「著作権の保護期間」→ 著作者の死後70年
  • 「著作権は登録不要」→ 創作の時点で自動的に発生する
  • 「営業秘密の保護要件」→ 秘密管理性・有用性・非公知性の3つ全部
  • 「知的財産の国際保護条約」→ パリ条約・PCT・TRIPS・ベルヌ条約など
  • 「クロスライセンス」→ 互いの知的財産を相互に許諾し合う契約
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