契約・会計帳簿・労働基準法・消費者保護・独占禁止法・個人情報
企業活動を規律する法律は会社法・金融商品取引法に留まりません。契約書の管理・労働者の権利保護・消費者保護・個人情報の適正な取り扱い・公正競争の確保は、企業が日常的に向き合う法的課題です。これらの法律の目的と主要概念を体系的に把握することが重要です。
契約書において取引条件が明確に書かれていない場合、意図の齟齬・紛争リスク・債務不履行リスクが生じます。不明確な条件は後の解釈の相違を生みやすく、訴訟リスクにつながります。
包括的契約(フレームワーク契約・基本契約)は、取引の基本的な条件を包括的に定める契約です。個別取引は個別注文書等で対応します。長期的・継続的な取引関係に適しています。
守秘義務(秘密保持義務)は、業務上知り得た機密情報を外部に漏洩しない義務です。NDAは雇用契約・業務委託契約・M&Aプロセスで広く締結されます。
契約書等の文書に印紙税が課される目的は課税文書の作成行為に対する課税(収入確保)です。法律行為の証明や登録の手数料ではありません。
商法に基づき、商人は会計帳簿を作成・保存する義務があります。保存期間は10年間です(会計帳簿・貸借対照表等)。
企業が適切に会計帳簿を管理していない場合にまず問題となるのは会社法(計算書類の作成義務)または税法(法人税法)です。
企業の会計に関するルールを定めた主な法律は会社法(計算書類等の作成・公告義務)および金融商品取引法(財務諸表等の開示義務)です。
企業が自社業務を外部委託する場合にまず確認すべき点は委託内容の明確化(業務範囲・成果物・報酬・守秘義務)および個人情報保護・情報セキュリティ対応です。
労働基準法で定められている法定労働時間は1日8時間・1週40時間です。これを超える時間外労働には36協定(時間外・休日労働協定)の締結と割増賃金の支払いが必要です。
企業が従業員に対して就業規則を変更することで労働条件を変更する場合、変更が合理的であり、かつ従業員に周知させる必要があります(労働契約法第10条)。不利益変更には特に高い合理性が求められます。
就業規則を変更する場合、会社は過半数代表(労働組合または従業員代表)の意見を聴取し、意見書を添付して労働基準監督署に届け出る必要があります。同意は不要ですが、意見聴取は必須です。
有期労働契約が同一の使用者との間で通算5年を超えて反復更新された場合、労働者の申込みにより無期労働契約に転換されます(2013年4月施行)。
消費者契約法の目的は、事業者と消費者の情報・交渉力の格差を是正し、不当な契約条項や不実の告知による契約を取消・無効とすることで消費者を保護することです。
企業が消費者に虚偽・誇大な広告を出した場合に問題となる法律は景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)です。不実の表示・有利誤認表示が規制されます。
日本の独占禁止法を所管する行政機関は公正取引委員会(公取委)です。
不当な取引制限(カルテル・入札談合)は独占禁止法で禁止される代表的行為です。価格カルテルは競合企業間での価格取り決めで、市場競争を実質的に制限します。
独占禁止法における「不公正な取引方法」には、再販売価格の拘束・不当廉売・優越的地位の濫用・排他条件付取引などが含まれます。正当な取引の制限(合理的な事業上の理由があるもの)は含まれません。
下請法の目的は、下請業者(下請事業者)が親事業者から不当な代金の減額・支払遅延・返品等の不利益を受けることを防止することです。取引上の弱者(下請業者)を保護します。
個人情報保護法で「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、氏名・生年月日などによりその個人を識別できるもの(他の情報と照合することで識別できるものも含む)です。
取り扱いに特に配慮が必要な情報として、要配慮個人情報が指定されています。本人の同意なく取得が原則禁止されています。
個人情報を第三者に提供する場合の原則は、本人の同意を得ることです。ただし、法令に基づく場合・生命・身体の保護のために必要な場合・委託・共同利用などの例外があります。