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財務・会計

財務指標・経営分析(ROE・ROA・流動比率・回転率)

収益性・安全性・効率性・株式指標の体系的な読み方

財務指標は企業の健康診断ツールです。「収益性」「安全性」「効率性」「成長性」という4つの視点から企業を評価できます。個々の指標を単体で見るのではなく、業界平均や時系列の変化と組み合わせて解釈することが重要です。

目次

① 収益性指標

ROE(自己資本利益率)

企業が株主から預かった資本をどれだけ効率よく利益に変えたかを示す指標です。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本(平均)× 100(%)

日本企業の平均は概ね5〜10%、欧米優良企業は15〜20%以上のケースも多い。ROEが高いほど株主への還元効率が高い。

ROA(総資産利益率)

企業が保有するすべての資産を使ってどれだけ効率よく利益を生み出したかを示します。

ROA = 当期純利益(または営業利益) ÷ 総資産(平均)× 100(%)

ROAを改善する典型的な施策:不採算事業の売却による総資産の圧縮、利益率改善による分子の増加。

ROIC(投下資本利益率)

事業に投下した資本(株主資本+有利子負債)に対してどれだけ利益を生み出したかを示します。WACCを上回るROICが「価値創造」の条件です。

ROIC = NOPAT(税引後営業利益) ÷ 投下資本(有利子負債+自己資本)× 100(%)

EBITDA

利息・税金・減価償却前利益。資本構成や減価償却方針の違いを除いた「純粋な稼ぐ力」を比較するために使われます。

EBITDA ≒ 営業利益 + 減価償却費・償却費

② 安全性指標

流動比率(Current Ratio)

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100(%)

一般に200%以上が理想とされます。1年以内の支払い能力を測る基本指標です。

当座比率(Quick Ratio)

当座比率 = (現金預金+売上債権+有価証券) ÷ 流動負債 × 100(%)

棚卸資産を除いた即時換金可能資産で流動負債を賄えるかを見ます。100%以上が目安。

運転資本(ワーキングキャピタル)

運転資本 = 流動資産 − 流動負債

事業の日常的な資金需要を示します。プラスであれば短期的な資金繰りに余裕がある状態です。

固定長期適合率

固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (自己資本+固定負債)× 100(%)

固定資産が長期的な資金源(自己資本+長期借入金)でまかなわれているかを示します。100%以下が健全とされます。

③ 効率性指標

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)

仕入れに支払った現金が、売上を通じて回収されるまでの日数。短いほど資金効率が良い。

CCC = 売上債権回転日数 + 棚卸資産回転日数 − 買掛金回転日数

CCCを短縮するには:売掛金の早期回収、在庫削減、買掛金支払サイトの延長が有効。

売上債権回転日数

売上債権回転日数 = 売上債権 ÷ (売上高 ÷ 365)

短縮施策:前払条件の強化、早期入金割引、請求業務の効率化。

棚卸資産(在庫)回転率・回転日数

在庫回転率 = 売上原価 ÷ 棚卸資産(平均)
平均在庫日数 ≒ 365 ÷ 在庫回転率 (または 棚卸資産 ÷ 日次売上原価)

買掛金回転日数

買掛金回転日数 = 買掛金 ÷ (売上原価 ÷ 365)

買掛金回転日数を短縮(早く払う)するとCCCは悪化します。

総資産回転率

総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産(平均)

保有資産を効率よく売上に変換できているかを示します。小売業は高く、製造業・重工業は低い傾向があります。

④ 株式評価指標

PER(株価収益率)

PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり当期純利益)

株価が1株当たり利益の何倍かを示します。高PERは成長期待が高いことを示す場合が多いですが、割高リスクもあります。

PBR(株価純資産倍率)

PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たり純資産)

PBR=1倍が理論的な解散価値。1倍割れは「市場が帳簿価値以下と評価」していることを意味します。日本企業は長らく1倍割れが多い状況にありました。

EV/EBITDA倍率

EV = 時価総額 + 有利子負債 − 現金同等物
EV/EBITDA = EV ÷ EBITDA

企業買収の文脈でよく使われる指標。財務構造・減価償却方針の違いを超えて企業価値を比較できます。国際比較や業種間比較に有用です。

D/Eレシオ(負債資本倍率)

D/E比率 = 有利子負債 ÷ 自己資本

上昇は財務レバレッジの上昇を意味し、財務リスクが高まったと解釈されます。ただし適度なレバレッジはROEを高める効果があります。

⑤ DuPont分析・レバレッジ・成長率

DuPont分解(ROEの3分解)

ROE = 当期純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

ROEを「稼ぐ力(利益率)」「資産効率(回転率)」「財務構成(レバレッジ)」の3要素に分解することで、ROE改善の打ち手を特定できます。

レバレッジ効果

借入(負債)を活用することで、自己資本に対する収益率(ROE)を高めることができます。借入コスト(金利)よりもROAが高い場合に正のレバレッジ効果が生じます。

サステナブル成長率

サステナブル成長率 ≒ ROE × 内部留保率(= 1 − 配当性向)

外部資金調達なしで維持できる最大成長率。ROEを上げるか配当を絞ることで高められます。

⑥ 試験頻出ポイント

🎯 よく出る問題パターン

  • 「ROEの計算式」→ 当期純利益 ÷ 自己資本(株主資本)
  • 「ROA改善の典型策」→ 不採算資産売却(総資産圧縮)か利益率改善
  • 「流動比率と当座比率の違い」→ 当座比率は棚卸資産を除く(より厳格)
  • 「CCC短縮策」→ 売掛金早期回収、在庫削減、支払サイト延長
  • 「EV/EBITDAの特徴」→ 財務構造・減価償却方針の差を除いた比較が可能
  • 「DuPontの3要素」→ 純利益率・総資産回転率・財務レバレッジ
  • 「在庫回転率の分母」→ 売上原価(売上高ではない点に注意)
  • 「棚卸資産回転率の分母」→ 売上原価(平均棚卸資産)
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