IFRS 15・16・9とのれん減損・ヘッジ会計・各種高度基準の要点
IFRSは国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)の略で、世界140カ国以上が採用する会計基準です。日本では任意適用が認められており、上場企業を中心に採用が広がっています。日本基準と異なる主要論点(のれん・リース・収益認識・金融商品)を中心に整理します。
IFRS 15は、顧客との契約から生じる収益の認識を5ステップで定義します。 日本でも2021年度から「収益認識に関する会計基準」としてほぼ同様の基準が適用されています。
| 区分 | 条件・典型例 |
|---|---|
| 一時点で認識 | 商品の引渡し時点(物品販売)。支配が移転した瞬間 |
| 期間にわたり認識 | 建設工事・長期サービス契約・SaaSなど。顧客が便益を享受しながら履行が進む場合 |
企業買収時に、被買収企業の純資産の公正価値を超えて支払った金額です。ブランド力・顧客基盤・人材などの超過収益力を反映しています。
| 基準 | のれんの処理 |
|---|---|
| IFRS | 償却しない(非償却)。毎年減損テストを実施 |
| 日本基準 | 20年以内の定額償却(毎年規則的に費用化) |
資産の帳簿価額が回収可能額を超えた場合、差額を減損損失として計上します。
IFRSでは、のれんは買収時に識別したCGU(資金生成単位:Cash Generating Unit)に配分し、毎年CGU単位で減損テストを行います。これは個別資産では独立したキャッシュフローが測定できないためです。
IFRS 16(2019年1月以降適用)により、借手(リースを利用する側)は原則としてすべてのリースをオンバランス(BS計上)します。
| 指標 | IFRS 16導入後の典型的な変化 |
|---|---|
| 総資産 | 増加(使用権資産が計上される) |
| 有利子負債 | 増加(リース負債が計上される) |
| EBITDA | 増加(賃借料がなくなり、EBITDAの控除項目が減る) |
| 営業利益 | 概ね増加(賃借料が減価償却費と利息に振り替わる) |
| D/Eレシオ | 悪化(負債増加による) |
| 区分 | 測定基礎 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 償却原価(AC) | 契約上のキャッシュフロー受取目的 | 貸付金・社債(保有目的) |
| FVOCI(その他包括利益) | 売却も想定した保有 | 債券(売却可能)、持分証券(選択適用) |
| FVTPL(純損益) | 上記以外、またはトレーディング目的 | 株式・デリバティブ等 |
輸入代金などの外貨建て決済リスクに対し、先物為替予約(フォワード)を使って為替レートを固定します。
輸入企業が円安リスクを回避する場合:外貨を一定レートで購入する予約(買予約)を締結します。これにより決済時の為替変動リスクをヘッジできます。
ヘッジ会計の目的は、ヘッジ手段(デリバティブ等)とヘッジ対象(資産・負債・予定取引等)の損益を同じ期間に認識することで、PLの変動を平準化することです。
PLを経由せずにBSの純資産に直接計上される損益項目です。
引当金が計上できる条件は以下の3つがすべて満たされること:
セグメント情報の主な目的は、企業の異なる事業・地域セグメントのリスクと収益性を開示することで、投資家が企業の全体像を理解できるようにすることです。マネジメントアプローチ(内部報告と同じ基準で開示)が採用されています。
IFRSでは有形固定資産に「原価モデル」と「再評価モデル」の選択適用が認められます。再評価モデルでは、公正価値を定期的に評価し直し、増加分をOCIに計上します(再評価剰余金)。
会計上の費用と税務上の損金算入のタイミング差(一時差異)に起因する将来の税負担軽減効果を資産として計上します。典型例:退職給付引当金(会計上は費用、税務上は原則損金不算入)の一時差異。
在外子会社の財務諸表を円換算する際の差額(換算差異)はPLでなくOCI(その他の包括利益)に計上されます。子会社売却時には「リサイクリング」によりPLに振り替えられます。
IFRSでは確定給付年金の数理計算上の差異はOCI(再測定)に即時認識します(コリドーアプローチは廃止)。これにより退職給付債務の変動が純資産に直接反映されます。
ストックオプション等の株式報酬は、付与日の公正価値で費用計上し、権利確定期間にわたり分配します。現金決済型か株式決済型かで会計処理が異なります。
| レベル | インプット | 例 |
|---|---|---|
| レベル1 | 活発な市場での同一資産の相場価格(最も信頼性高) | 上場株式 |
| レベル2 | 直接・間接的に観察可能なインプット | 類似債券の市場価格 |
| レベル3 | 観察不能なインプット(内部仮定に依存) | 非上場株・複雑なデリバティブ |
累積インフレ率が3年間で100%を超える国の通貨が機能通貨である場合、財務諸表を物価変動に応じて修正(インフレ調整)して表示します。名目値では比較可能性が失われるためです。